初めてA180ダーツショップに行った時の話
僕はダーツショップに行くのが好きだ。
いろんなダーツショップに行ったことがあるがそのなかでも「A180ダーツショップ」は特別な場所だ。
場所はイングランドはセントヘレンズ。
2年以上前に初めてマンチェスターに行く仕事が入った。
「マンチェスターにはどんなダーツショップがあるのだろう」
と思いダーツショップの検索が始まる。
検索結果堂々の第1位が「A180 Darts Shop」だった。
僕は行くと決めるまで細かく調べる。
Googleの検索結果だと情報量が少ないため必ずオフィシャルページとフェイスブックページを確認する。
みてみると規模が大きいダーツショップということが一目瞭然だ。
検索中にある画像を発見する。
↓
「何このダーツボード壁!?しかもリサ・アシュトンこれ!?」
それはまるでBDOのステージを思わせるようなダーツルームの写真。
僕はこのダーツショップに行くことを決めた。
マンチェスタービクトリア駅からセントヘレンズ・ジャンクション駅まで電車。 そこからさらにバスに乗ればA180ダーツショップの目の前まで行ってくれる。
特に日本のダーツショップの多くは便利な最寄り駅あるイメージがあるが、ヨーロッパのダーツショップは人里離れたとこにある印象がある。
ぼくは電車でダーツショップに向かうことが好きだ。
マンチェスターからセントヘレンズ行きの電車の窓から見えるどこまでも続く緑
それはまさに「世界の車窓から」そのものだ。
どこまでも続く緑の牧場。
小さい点々がいっぱいある。羊だ。
「羊がいるなぁ」と思っていると牛や馬もちょくちょく出てくる。
どこまでも続く茶色い土のフィールド。
僕はその光景をみて「ポテトフィールド」と勝手に決めつけた。
まどを眺めながらそんな妄想していると「コーヒー、ティー、スナックはいかがですかー」とガタイのいい髭面の販売員が僕を横切る。
「キャナイハブコーフィーウィズミルクアンシュガープリーズ」
イギリスに行くとなぜか僕の英語はイギリスアクセントをマネしたがる。
僕が高校時代をカナダで過ごしていたときは「カナディアンイングリッシュ」
日本に帰ってきたときの英語は「ジャパニーズイングリッシュ」
そして香港に住んでからの僕の英語は「カントニーズジャパニーズイングリッシュ」になっている。
僕は東京にいると関西弁が使いずらい。
「すんまへん、山手線てどっちいけばよろしいでっか?」と東京の駅員に言うことを想像するだけで怖い。
僕は東京にいくとかなり関東弁になる。
「同じ言葉を話せば仲間に入れてくれる」と生きるための本能が僕の頭にはインプットされている。
香港に住み始めて僕の英語が広東語なまりの英語になるのも生きていくための本能だ。
「オーケーラー、モーマンタイラー、はうかむぁ」
↑
「大丈夫だよ、 問題無い、 どうしたの」
語尾に「ラー」や「ぁ」がつく広東語。 それに英語がミックスして上のような広東語になる。
僕はこの3つのフレーズをフル活用して香港人と仕事をしている。
僕は彼らが普段使う言葉を使うことによって彼らとの距離をぐっと縮めるのだ。
東京で「めっちゃ安いやん」というより「やしぃ」と言った方が気持ちが伝わると信じている。
そんな自分はイギリスにいけばイギリスっぽい英語をマネしたがる。
「ホリデイ」のときのジュード・ロウのときもあれば「ミッションインポッシブル」のベンジーなときもある。 好きなブリティッシュ英語をマネして喋るのは好きだ。
そうして電車の中で購入したコーヒー。
コーヒーを入れてくれたのはガタイの良い髭面のにーちゃんだった。
窓から流れる風景を眺めながら「こんなにポテトと羊を食えばこんなにデカなるんかぁ」と思いながら電車はセントヘレンズに到着した。
セントヘレンズジャンクション駅からさらにバスに乗らないといけないA180ダーツショップ。
改札を出てすぐのバス停から目的のバスに飛び乗る。
先程のってた速い電車と比べてこのバスはゆっくり進んでいく。
気がつけばバスの中はオレンジヘアーのハリポッターに出てきそうな茶色い制服の着てる中学生でいっぱいだ。
学校を終えて家に帰るのだろう、バスはどんどん緑の多い住宅街に入っていく。
アイフォンのグーグルマップはどんどんA180ダーツショップに近ずいていく。
「あともう少しで夢のダーツショップだ」とドキドキしはじめる。
不思議なことにバスの中の人々がみんなダーツプレーヤーにみえてくる。
それ僕が初めて巣鴨駅に着いたとき、視野に入ってくる人々みんながダーツプレーヤーに見えた感覚と同じだ。
仕事帰りのOLおばさん、酒とタバコで顔が赤黒く光ってるサラリーマンオヤジ、見たことないオシャレな男子。
「そのカバンの中にはどうぜダーツが入ってるんだろ」と思うように。
グーグルマップの現在地がA180ダーツショップにブチ当るところでバスを降りる。
すでにGoproでバスを降りる自分を撮影している。
そして写真と同じ青っぽいお店が見てた。
間違いなく「A180 Darts Shop」と書かれているが外から見る店は小さい。
「ピンポン押せ」と小さく書かれてるので押した。
モザイクのかかったドラの窓ガラスから誰かがドアを開けに来るのがみえる。
ここで初めてA180ダーツショップのオーナー、カール・ホールデンに出会う。
行く前に「今日は営業していますか? 動画の撮影をしてもいいですか?」 と確認をとっていたためすぐ僕をウェルカムしてくれた。
店内に入ったとたんびっちり壁にかかってるダーツグッズに囲まれる。
店内にBGMはかかってない。
「しーーん」がうるさく聞こえてくるほどの静けさ。
ユニコーン、ターゲット、ウィンマウそしてハローズの順に見たことない古いものから新しいものまでびっちり並んでいる。
気がつけば僕は両腕に抱えきれないほどのダーツやフライト、シャフトを持っていた。
これがUNIQLOなら店員さんが「どうぞお使いください」と買い物カゴを僕にくれているだろう。
気がつけばカールおじさんの店内ツアーが始まっていた。
カールと奥に奥にと進んでいく。
奥は迷路みたいになってていくつものプラクティスルームがある。
見たこともない光景に驚いた。
「ここが練習部屋ですか」
入るとそこは畳12畳くらいの部屋で奥と手前の壁にボードが一面づつかかっている。
壁にはぎっしりPDCでよく見るプロフェッショナルダーツプレーヤーの姿が。
彼らがここに来て撮った写真で壁は埋め尽くされている。
カール「マイケル・スミスも昔うちでスポンサーしてたんだ」
僕「ワオ...」
カール「チジーとバンティングもここが地元で有名になる前までここで梱包のアルバイトをしてたんだよ」
僕「ワオ...!」
「ワオ」が止まらない僕。
さらに奥に入ったところにある倉庫に案内してくれた。
そこには有名な選手達のサイン入りシャツが山盛りになっていた。
カール「貴重なサインシャツが山のように増える一方で僕もどうすればいいかわからないくらい増えてしまうんだ」
僕「ワオ...!!」
オーナー「コーヒーかティーでもいかが?」
僕「いえ、大丈夫です」
僕はこのダーツショップとカールの偉大さに遠慮してコーヒーを断ってしまった。
入店してから数時間、「ワオ」としか言葉に出ない僕。
僕は「なぜこんなに宝の山でいっぱいなんだ...」 とずっと驚きっぱなし。
さらに「見せたいものがある」といい別の部屋へ案内するカール。
2階の事務所に入るとそこにもサインシャツで階段の手すりが埋め尽くされている。
カール「これはブレンダン・ドーランが9ダーツを達成した時と同じモデルのシャツなんだ、そのときにもらったサイン付きでね、これあげるよ」
僕「これくれるんですか!?」
山にようにある宝をカールは分けてくれた。
僕「ありがとうござます!」
ドーランのサインシャツを片手に急な階段を降りてダーツグッズエリアに。
興奮が冷めないままぼくがそろそろお会計をしようとしたとき。
カール「君の隣に立ってる人は誰かわかるか?」
僕「え? 誰ですか?」
カール「チジーのお兄さんだよ」
ジェイ「俺がイケメンのチジーの兄のジェイだ、よろしく!」
僕「え!? チジーに兄貴いたの!?」
カール「そう、ジェイもダーツが上手くて地元のカウンティにも出てるんだ」
僕「そうなんですか!?」
先程から店内にいるのはわかっていた客らしきこの人がデイブ・チズネルの兄貴だったなんて。
開いた口がふさがらなかった。
ジェイ「これから俺がコーチしてるダーツアカデミーに遊びにこないか?」
僕「ダ、ダーツアカデミー!? コ、コーチ!?」
大量の情報に僕の頭はついていけなかった。
カール「ジェイがセントヘレンズダーツアカデミーでコーチをしていて僕はアカデミーのオーガナイズをしてるんだ。
今晩は週に一度のアカデミーの練習でユースキッズが集まる日なんだ。
興味があるならぜひ見学しにおいで。 上手なユースとダーツしても面白いんじゃない?」
僕「行きます!!!」
そして僕は大量に購入したダーツグッズを抱えてチジーの兄貴とカールと一緒にダーツアカデミーに行く。
それではご覧ください
「本場UKダーツ店すげぇ」
「セントヘレンズダーツアカデミー」